「応力」その1 応力とは?

 ごめんなさい…、長くなってしまいました…。


 ・荷重などの外力に対して部材内部に生じる抵抗力のこと

 ・任意の点において左右(上下)の力は「必ず」つりあう

 ・↑任意の点の応力を求める場合にはいずれか片方(右or左)を見ればOK



 左右の力は「等しい大きさ」の「方向が逆」でつりあう

   ↑何の事やら…、分かりませんね。ちょっとヤヤコシイので以下の例で説明します。




 例1 1本の棒の一端に圧縮の力がかかっている場合

(1)棒の左端(A点)に力「P」を加えます。

        A点に荷重P(右)がかかっています

(2)棒が動かない為には反対側のB点で支えなければなりません。

        PとP'は大きさ同じ・方向逆

 この状態で「安定」です。部材は「圧縮」されています。

(3)部材の内部を見てみます。C点を切断面として部材を3つに分割します。

   

(4)棒全体が圧縮されているので部材Cも圧縮されています。



(5)上の図はちょっとオカシイです。このままでは部材A・Bが動いてしまいます。

部材A・Bともに元々圧縮されていたので以下の様になります。



(6)上図を良く見ると全ての部材ともに左右の力がつりあっています。

力1=力2、力3=力4、力5=力6、また全体として力1=力6

 C点は何処に移動しても上記関係は変化しません。したがって、今回の例では部材のどこを切ったとしても等しい圧縮力Pがかかっていることになります。





では次です。実際の建築士の問題に近づけて(無理やり…)みます。

 例2 1本の棒の2ヶ所に圧縮の力がかかっている場合

(1)棒のA点に2P、B点にPの右向きの力がかかっています。




(2)C点が壁になっているとすると、反力(支える力)が生じます。



(3)D点で切断してみます。

  

(4)部材Aに注目し、左端の2Pの力とのつりあいを確認してみます。



(5)部材Aの右端の2P(青矢印)と部材Dの左端(赤矢印)はつりあい、さらに部材Dの左端(赤矢印)は部材Dの右端(緑矢印)とつりあいます。



(6)さて、ここからが問題です。部材Dの右端の2P(緑矢印)と部材BCの左端(黄矢印)はつりあわなければなりません。…が、部材BCの右端には反力3P(紫矢印)があります。結局は部材BC中には荷重P(黒矢印)があるので、以下の様になります。



(7)ヤヤコシクなってきましたが、今行っていることは切断面Dにおける応力を求めることです。上図より部材Dは2Pの圧縮を受けています。切断面はA-B間のどこをとっても同じ2P圧縮になります。しかし、荷重のかかっているB点を超えてしまうと以下の様に3Pの圧縮をうけます。



(8)まとめてみましょう。薄赤の部分が2P圧縮、薄青の部分が3Pの圧縮です。



(9)上図が実は最も重要です。材料の端、荷重のかかっている所、支点、接点で応力は変化します。実際の問題では以上の点で部材を分けて考える必要があります。また、部材の左右の力は「必ず」つりあいますので計算する際には
どちらか片方の力のみをリストアップすれば応力計算可能です(って事は、試験の際には反対側の力も計算して計算ミスの確認も出来ますね)。

(10)例題は軸方向力で解説しましたが、「せん断力」「曲げモーメント」でも同じです。